大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和35(オ)557 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人青柳盛雄、同青柳孝夫の上告理由第一点について。

しかし原判決は、措辞に多少の難がないではないが、その認定した事実の要旨は、

結局、亡Dの賃借権は、その死亡とともに一応家督相続人である上告人A1に承継

されたが、同人は当時まだ幼少であつたところから、上告人A2は右A1の親権者

たる資格において被上告人との間で本件賃貸借契約を合意解除し、それとともにA

2個人で、新たに本件建物を賃借するに至つたという趣旨のものと理解されなくは

ない。そして原判決の右の如き事実認定は、その挙示の証拠関係から首肯できなく

はないのであるから、これを非難する論旨は理由がない。

同第二点について。

本件賃借権が、前述の如く、一旦家督相続人たる上告人A1に帰属したのを、親

権者母A2が、被上告人との間でこれを合意解除し、新たにA2個人として借り受

けるに至つたものであるとされる場合、当然旧民法八八六条による親族会の同意の

有無、A1の追認の有無が問題にされなければならぬこと所論のとおりではあるが、

親権者が親族会の同意を得ないでした行為であつても、それは当然に無効となるの

ではなく、旧民法八八七条により取消されないかぎりは有効として取扱わるべきも

のであることは、条文の上からも疑いを容れないのであるから(大審院明治三三年

(オ)二六九号、同三三年一二月一五日判決、民録六巻一一号七九頁参照)、上告

人らが、もし本件において、右合意解除が無効であると主張しようとするならば、

右取消権行使の事実を主張し立証しなければならぬ筋合である。しかるにそれが全

然なされていない本件においては、親族会の同意の有無、A1の追認の有無は問題

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にはならない。それゆえ原判決には所論の違法があるとは認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 高 木 常 七

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

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